帯状疱疹とは
ヘルペスウイルスの一種で、水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化によって発症する病気です。初めて感染すると水ぼうそう(水痘)として発症します。水ぼうそうが治った後もウイルスは排除されず、生涯に渡り神経節に潜伏しています。そのため、水ぼうそうに感染したことがある人であれば、誰でも発症する可能性があります。
ご高齢の方や、季節の変わり目、体調を崩した時、疲労が蓄積して免疫が低下しているような時に、眠っていたウイルスが再活性化し、皮膚に症状が出てきたものが帯状疱疹です。
症状
帯状疱疹は、体の神経の分布に沿って帯状に赤い水疱などの発疹ができ、強い痛みを伴うこともあります。多くは左右のどちらか片方のみに帯状に発症しますが、稀に両側性であったり、全身に水ぼうそうのほうな発疹が広がる汎発化状態になることもあります。
約1週間程度で次第にかさぶたになり、色素沈着となって治っていきますが、症状が強い場合は潰瘍になったり傷あとが残ったり、痛みが数か月以上持続することもあります。
症状がでている場所の近くのリンパ節が腫れたり、熱がでることもあります。
また、目の近くに発症した場合、角膜炎や結膜炎になってしまったり、耳のある場所に発症した場合は難聴や顔面神経麻痺が発生する場合もあります(Ramsay-Hunt 症候群)ので、眼科や耳鼻科の診察が必要になることがあります。
治療方法
帯状疱疹の治療は抗ウィルス薬の内服を基本に行います。重症な場合は点滴が必要になることもあります。入院が必要と思われる場合は、近隣の総合病院に紹介させていただくこともございます。
軽症な場合や腎機能が悪く内服が困難な方は、外用剤を使用することも可能です。
また、当院では創傷治癒の促進や痛みをやわらげる目的で、患部に医療用LEDの照射も行っております(別途料金がかかります)。ご希望の方はぜひご相談ください。
年齢を重ねるごとに免疫が低下したり、幼少期に施行したワクチンの効果が低下してしまうことがあります。2016年より帯状疱疹予防としてワクチンが認可されました。当院では50歳以上を対象とした帯状疱疹ワクチンもご用意しております。一度も水ぼうそうに罹患したことがない方、水痘ワクチンを過去に接種していない方、50歳以上の方はぜひ接種をお勧め致しますのでご相談ください。
Q&A
帯状疱疹はうつりますか?
過去に水痘(水ぼうそう)に罹患したことがある方には基本的にうつりません。
ですが、一度も水痘にかかったことがない乳幼児や小児、免疫が低下している高齢者、ワクチン接種歴も罹患歴もない方には水痘として感染してしまう場合があります。
授乳はできますか?一緒に入浴は可能ですか?
水疱がぶつぶつできている部位にウイルスが存在していると言われています。そのため水痘に感染したことのないお子さんやワクチン未接種の方が直接患部に接触することは避けてください。タオルなども別々に使用することをお勧めしますが隔離などの厳密な対応は必要ありません。
しかしながら、全身に水痘のような発疹が出ている場合はより感染力が強くなっていますので、身の回りに水痘の免疫がない方や免疫が低下している可能性がある方がいる場合は気を付けてください。
内服薬での治療を開始し、かさぶたになる頃には感染力はほぼ消退していますので通常の生活で構いません。
再発しますか?
健康な方は発症しても一生に1回程度だとは言われていますが、中には何度も繰り返す方もいらっしゃいます。何度も繰り返すようであればワクチンを接種したり、免疫が極端に低下する病気が隠れていないか検査をお勧めする場合はあります。
子供も帯状疱疹になりますか?
水痘に罹患したことがあるお子さんであれば、発症する可能性はあります。基礎疾患のない元気なお子さんでも、疲れがたまっていたり、体調不良が続いた後に発症したケースはあります。内服薬での治療が可能です。
痛みがとれません。
ウイルスが神経を傷つけながら発症してきますので、障害の程度によっては数か月から数年かかることがあります。天気が悪い日には傷あとが痛む、という方もいらっしゃいます。
神経が修復されるまでには時間がかかりますので、しばらくは鎮痛薬・ビタミン剤の内服・神経ブロック、温熱療法などで治療します。神経痛は温めるとやわらぎますので、温浴をしたり、厚着をしたり、あたためることがお勧めです。
当院では創傷治癒促進と疼痛緩和のためLED照射も施行しております。